外側の箱(outerBOX)の中に内側の箱(innerBOX)を置くという,<BOXinBOX>形式を用いて,単純明快な空間構成を目指すとともに,外側の箱と内側の箱の性質と性能を明確に区別して,「次世代省エネ基準」の基本理念でもある「閉じること」と「開くこと」を兼備する,新たなロハススタイルオール電化住を提案する。
<それぞれの箱の性能>
□外側の箱(outerBOX)は,空間全体の防水性能と第1次の断熱・気密性能が求められる。これを鉄骨と木の合せ梁の骨組みを用いて無柱空間とし,簡易で高断熱性・高気密性・高防水性をそなえる断熱材サンドイッチ金属パネル(外断熱工法)で外側の大きな空間を覆う。
そして,この外側の箱は,「閉じること」を優先しない,外部と同化する空間となる。
□内側の箱(innerBOX)は,就寝など「籠る」ための場所を想定しており,持続して安定した室内環境とする。これを地震にも強い木造の独立した閉じた箱として作り,さらに高気密・高断熱とした上で,効率の良い水を用いた蓄熱式床暖を用いて,エネルギーロス「0」を目指す快適な熱環境空間を作る。
<箱で区切られる箱の楽しさ>
箱の中を箱で区切るという単純な構成を用いることで,箱の内外部に様々な空間を作ることができる。そしてその様々な空間は,「開かれた場所」から「閉じた場所」へ段階的に展開していく。